太っている方が全て“よくない”(治療を要する)わけではありません。ただし、太っている、すなわち肥満であることによって、病気が引き起こされる可能性があります。肥満は、高血圧などの生活習慣病につながることが知られており、他にも睡眠時無呼吸症候群や変形性関節症、腎臓病などとも関係しています。
BMIが25以上である場合は、肥満の状態ということができます。BMIが27だからといって必ずしも治療が必要であるとは言えません。肥満が原因の病気を合併している、あるいは肥満に関係する病気を合併し、医学的に体重を減らす必要があると判断された場合には、やせる必要がでてきます。
さらに詳しく肥満症ってなに?
肥満は、食べ過ぎることに加えて、過度の飲酒、運動不足などにより引き起こされます。また、睡眠時間やたばことの関係が知られており、その他にもストレスや労働環境なども影響しています。
関係があります。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が過剰に蓄積し、脂質異常・血圧高値・糖代謝異常のうち2つ以上を併発している状態です。
内臓脂肪の蓄積は、メタボリックシンドロームの診断基準の唯一の必須項目です。
さらに詳しく内臓脂肪型肥満とは?
内臓脂肪が蓄積しているかどうかは、おへその高さで測った腹囲(ウエスト周囲長)が目安となります。ウエスト周囲長が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合に、内臓脂肪の蓄積が疑われます。内臓脂肪を正確に調べるには、おなかのCT検査が必要となります。
さらに詳しくウエスト周囲長って?
まずは日常生活での活動レベルを上げるところから始めてみてはいかがでしょうか。なるべく座っている時間を少なくする、意識して階段を使う、通勤通学ではなるべく長い距離を歩く、など、毎日の生活の中でエネルギー消費を心掛けてみましょう。
肥満症では、食事による摂取エネルギーより、身体活動で消費されるエネルギーを増すために、食事療法や運動療法を基本とした治療が行われます。減量をサポートするための行動療法が行われることもあります。BMIが35以上の高度肥満症では、食欲抑制を目指した薬物療法や、胃を部分的に切除して細長くする外科療法が考慮されます。
太り過ぎに至った生活習慣を見直し、やせるための行動を身につけていく治療法です。行動療法では、主に体重測定を習慣にして自分の体重変化を日々見つめることや、ゆっくりとよく噛んで食べることなどを習慣化していきます。
肥満症治療の原則は減量することにあるのですが、減量した体重を長期的に維持し、不用意な体重増加を防ぐことも、とても大切です。減量に成功したら終わりというわけではなく、その後も必要に応じてそれを維持するための治療が行われます。
肥満症の人に対して、生活習慣の改善から外科治療に至るまで、幅広く診察し治療する専門家として肥満症専門医がいます。肥満症の治療を受ける場合には、かかりつけの先生に相談の上、肥満症専門医のいる医療機関を受診されることをお勧めします。日本肥満学会が認定する「認定肥満症専門病院」があります。
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- 監修
- 千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 教授 横手 幸太郎